勉強ができないのは○○のせい

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親の行動で子供が変わる真に勉強する子を目指して

私が塾長として教鞭をとっていた校舎で春期講習を経て入塾しました。入塾の際お母さまより

「〇〇高校(地域トップ校)に入れたいので入塾を決めました!そこのところよろしくお願いします!」

と鬼気迫る感じで釘を刺されました。いわゆる教育ママで正直厳しいお顔をされておりました。しかしながら当の本人はあまりやる気が感じられない。さてどうしようか。まずはオーソドックスに褒めてみる。効果が感じられない。宿題を出してもやってこない。しかしここは我慢比べ。

「来週はやってこようね」

しかしトモキ君はやってこない。でも我慢。

「よっしゃ!来週こそはやってこよう!」

やってこない。少しだけムチを入れてみる。

「よし!半分でいいからやってこよう」

やってこない。今度は違う角度で少し叱ってみる。

「ダメじゃないか!来週は絶対やってこよう!」

やってこない。お母さまの力(恐怖感)をお借りしよう。

「来週やってこなかったらお母さんと一緒にお話ししよう!」

やってきた。でもこちらはプロ。生徒のレベルと途中式(算数の宿題だったので)を見れば自分で答えを出したかどうかがわかるし何よりも解答の途中式とまるっきり一緒だったので

「トモキ君ごめんな。もし先生が間違ってたら謝る。答え写したりした?」

『見てない』

「そうだよね。ごめんね。でも解答の途中式で間違っているところがあるんだけど(実際に誤植があった)まったく一緒なんだよね。」

『見た』

素直な子でした。だからこそ小学4年生の段階でここまでやる気がないのは別の事情があると感じました。

褒めても叱っても全く改善の見られないトモキ君に違和感を感じたのでお母さんだけをよんで話を聞くことにしました。

「トモキ君の家でのご様子はどうですか?」

『どうもこうもないです。全く勉強しません!このままで大丈夫なんですか?』

「そうですね。大丈夫ではないです」

『このままだと塾を変えることも考えます!』

「そもそもトモキ君は昔から勉強嫌いだったですか?」

『そうですね!小学校入ったころからずっとです!』

この状況は非常におかしいです。なぜなら本来子供は学ぶということに貪欲です。それが周りの環境が変化していくにつれ勉強よりも他の事(例ゲーム、TVなど)を優先させていきます。しかし小学校1年生は新しい環境でもあり新鮮な出来事がたくさんあります。勉強もそのうちの一つです。いまいち府に落ちないのでもう少しヒアリングをしてみました。

「お母さまはどうして○○高校にトモキ君をいれたいんですか?」

『そのほうが将来の選択肢が広がるからに決まってます!』

「確かにそうですね」

『だから今から準備しておかないと間に合わないじゃない!家で勉強をしなさいって言っても全然やらないし!先生!ちゃんと宿題出しているでんすか?』

「出していますがやってきていませんね。ですので今日お母さまに来ていただきました。」

『先生どうしたらいいですか?』

そうおっしゃったお母さんは語気は強かったものの不安が見られました。感覚の問題ですがいまいちお母さんの心の奥が見えないので少し雑談を交えながら話を進めていきました。そのうち少し(ほんとにわずかですが)笑顔が見られるようになったので徐々に深い話に切り替えていきます。

「実は私、今でこそ塾長という肩書でやっていますが小学校1年生の時自分の名前が書けなくて母親が学校に呼び出されているですよ!しかも小学校4年生までおねしょをしてましたし。」

『塾長先生が?ほんとですか?実は私もあまりいい高校出てなくて…。でも主人も主人のお父さんも○○高校出身ですごく肩身が狭いです…』

(これだっ!)しっくりきた瞬間です。どうして○○高校に執拗なまでにこだわるのか合点がいきました。プロの学習カウンセラーは話の中でご家庭の状況、そして勉強できない原因である「鍵」を聞き出せるかどうかです。ではこの後どうやってお母さんとトモキ君を導いていったか。まずはお母さんの心を解きほぐしてあげることが先決です。

「そうだったんですね…。ではお母さまが感じるプレッシャーは相当なものなんじゃないですか?」

『そうなんです。ただでさえいい高校出ていないので全部私のせいになってしまいます。』

「それはつらかったですね…」

『はい…』

そうおっしゃったお母さんは少し潤んでいました。おそらく一人で相当頑張っていたと思います。だからこそ何とかして解決しなくてはと思いました。お母さんの心の扉が少し開いたのを感じたので徐々にヒアリングから提案へと移っていきます。(営業の手法と似ているところがあります)

「でもねお母さま。トモキ君にはそんなことは関係ないです。今のトモキ君にとって○○高校は重要ではないんです。トモキ君にとって大切にしたいのは○○高校に入るための勉強じゃないんです。」

『じゃあ何を大切にしたいんですか?』

「トモキ君にとってトップ校に行くことは全く重要なことではないです。トモキ君がやりたいことはお母さまと仲良くしたいってことだけです。大好きなお母さまが勉強のことに関していつも怒るのであればトモキ君は嫌いになります。お母さまの代わりに勉強が。」

子供は特に幼少期は母親に好かれたいという思いが非常に強いです。ですので母親が怒ることを特に嫌います。そして母親が怒る原因を排除しようとします。それが今回は勉強ということです。でも母親は子供のためを思って言っていることがほとんどなので無意識のうちに怒ってしまいます。これは勉強嫌いなご家庭に非常に多く見受けられました。ですので私は以下のようにお話ししました。

「お母さま。今日から勉強しなさいというのを一切やめてください。」

『でも先生。言わないと全くやりませんよ?』

「そうですね。でもお母さま、今まで勉強しなさいと言ってやりましたか?」

『いえ。でも少しはやります。』

「そうですね。今はまだ自我がそれほど強く出ているわけではないので少しは言うことを聞きますが、高学年や中学生になって自我が強くなってくるとどうしようもなくなりますよ。」

『でも言わなければ勉強しないし…』

「お母さま。このまま言い続けても結局はやりませんよ。お母さまは結局トモキ君にどうなってほしいいんですか?いい高校に行ってほしいだけですか?」

『いえ、自分の力で生きれる大人になってほしいです。』

結局のところどの親御様もつまるところは子供の幸せです。それがいつのまにかいい学校に行くことで幸せになれるとすり替わってしまう。でもいい学校行っても幸せになれない人はいます。その逆もあります。自分の力で物事を乗り越え生きていける人間になってほしいというのが究極の願いです。私は教育のプロとして続けました。

「お母さま。とにかく勉強をしなさいということは私が言います。私はいい意味で他人ですからトモキ君にいくら嫌われてもかまいません。でもお母さまがそれをやってはいけない。ですからお母さまにはたった一つやってもらいたいことがあります。これから学校の宿題や私からの課題で机に向かう時がきます。お母さまはそのタイミングを決して見逃さずに一言『頑張っているね』とだけ声をかけてください。勉強に関しては一切口を出さない。これを約束してください。」

『でも先生、言わないとやらないですよ?』

「お母さま、今のままの方法でやると必ずやらない日がきます。今ならまだ間に合います。一緒に頑張りましょう。これはお母さましかできないことで、しかもお母さまが一番辛く苦しい。それは私がサポートします。愚痴なら私に言ってください。トモキ君には一切言わない。頑張りましょう!」

『わかりました』

正直あまり力のない返事だったので心配でした。

約2か月後

目に見えて変わり始めたのはそれくらいでした。いつもお祖父ちゃんに軽トラで送り迎えをしてもらっていましたがそれまではつまらなそうに嫌々車から降りてきていたトモキ君が笑顔で車から出てくるようになりました。何かいいことがあったのかなとその時は思いましたが、次の週もその次も笑顔で来るようになりました。授業中も率先して難しい問題に取り組むようになり、宿題もやるようになりました。その時お母さんが頑張ってくれたと感じさっそく電話しました。開口一番

「お母さま。頑張ったでしょう?」(時にはあえてフランクな言葉を使うこともあります)

『先生わかります?先生に言われた通り勉強のことは一切言わないようにしたら本当にやるようになったんです。ありがとうございます。』

本当にうれしい瞬間でした。一番驚いたのは後日お母さんが来塾してくれた時にその顔から険が取れ優しい顔になっていたことです。家で楽しそうに母親と話すトモキ君を想像したら心底うれしくなりました。この後彼がどうなったかは想像にお任せします(笑)

大人が言葉を選んで使うべき

私たちは言葉を通じて物事を理解します。だから言葉の持つパワーというのは大きい。だから慎重に選んで発しなければなりません。特に子供の時は親の言葉の影響というは非常に大きいです。「できない」や「無理」などの言葉を使っていれば子供はそのように育ちます。例えば学校の提出物を出さないからといって「あなたはホントだらしがない」や「ちゃんと出さない子ね」などといえばどんどんそういう人物が育ちます。育ってほしい人物になった時にかけるであろう承認の言葉をかけるようにしましょう。勉強させたかったら「勉強しなさい」ではなく「勉強頑張ってえらいね」とかけてください。もちろんタイミングは重要です。そのタイミングを見逃さないためにいつも子供を見ててください。そしてうまく塾を利用してください。塾に通っていれば成績が上がるなんてことはありません。そんな魔法の塾は存在しません。無理やりやらせることはできますが後々それが障害になることは往々にしてあります。自分で自発的にやる子供にするための魔法は我々の言葉です

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